地震調査研究の最前線5


写真提供:阿部勝征氏


写真提供: 防災科学技術研究所 
Eディフェンス
平成(へいせい)7年1月17日に発生(はっせい)した阪神・淡路大震災(はんしん・あわじだいしんさい)では、建物(たてもの)が壊(こわ)れたり、高速道路(こうそくどうろ)が倒(たお)れるなど、予想以上(よそういじょう)の被害(ひがい)が出(で)ました。
そのため、「なぜこんなに壊れてしまったのか」、「壊れないためにはどうすればよいのか」を考(かんが)え直(なお)さなければいけなくなりました。
当時(とうじ)、計算(けいさん)では地震に強(つよ)いと思(おも)っていた建物も、実際(じっさい)に地震(じしん)が起(お)きたら倒れてしまうものもあり、計算だけではなく、実際に建物を揺(ゆ)らしてみることで、計算し強度(きょうど/強さ)が実際に合(あ)っているかどうか確(たし)かめることが重要(じゅうよう)だとわかりました。
こうして、これまでは不可能(ふかのう)であった、実際の大(おお)きさと同(おな)じ建物が壊れるまでの揺れを再現(さいげん)できる究極(きゅうきょく)の実験施設(じっけんしせつ)が建設(けんせつ)されました。

木造住宅(もくぞうじゅうたく)を使(つか)った実験(じっけん)では、築(ちく)30年(ねん)のほとんど同(おな)じ形(かたち)をした木造住宅2軒(けん)のうち、1軒はそのままで、もう1軒は地震(じしん)で壊(こわ)れにくい家(いえ)に補強(ほきょう)して、同時(どうじ)に揺(ゆ)らしました。その結果(けっか)、何(なに)もしなかった家は完全(かんぜん)に壊(こわ)れましたが、補強した家は壊れませんでした。

動画提供: 防災科学技術研究所 
Eディフェンス
地震(じしん)が起(お)こったとき、家(いえ)の中(なか)の家具(かぐ)がどのように動(うご)くかを調(しら)べる実験(じっけん)もしました。倒(たお)れないように固定(こてい)した冷蔵庫(れいぞうこ)やテレビは転倒(てんとう)しませんでしたが、固定をしなかった家具はほとんどのものが転倒しました。

建物(たてもの)の構造(こうぞう)は複雑(ふくざつ)なので、地震(じしん)に強(つよ)いか弱(よわ)いかは計算(けいさん)だけでは必(かなら)ずしもわからないことがあるため、実際(じっさい)の大(おお)きさの建物に地震(じしん)の揺(ゆ)れを起(お)こして大丈夫(だいじょうぶ)かどうか確(たし)かめています。
何回(なんかい)もこのような実験(じっけん)をくり返(かえ)すことで、このことを逆(ぎゃく)に利用(りよう)して、地震(じしん)に強い建物を計算で設計(せっけい)することができるようになるのです。

とじる